2009年6月26日金曜日
612621-「思い出」を偽装することについて
2009年6月22日月曜日
最後の一日。菊池邸建設予定地とは。←小林麻美より
恥ずかしいことながら、最後の最後に、倒れてしまいました…小林です。
最終日、不在の間に御来場くださったみなさん、本当に申し訳ありませんでした。
昨日は絵画教室を一つ辞めてでも、体力づくりに励まねば、と意を決しました。
最後の大仕事が二つ残っています。
私にとっては、まだ、この展覧会、半分終わってないような気持ちです。
まず、その一つ目の仕事。
小林麻美にとっての「菊池邸建設予定地とは何なのか」を考えてみます。
今回私は、この会場が、人が介在しやすい場所である、と強く思いました。
それは、来場する人が、何かしらのきっかけで、自分の思い出を語りだし、
回数を重ねて来場してくれた人が自分が関った場所として、作品のこと、
場所のことを説明してくれている姿を目にするうちに、感じたことです。
作家が主役でなくなる会場というのは、清清しいなあ、とひとしきり。
それから、場所が許してくれること、があります。
私達に実験を許してくれ、来る人が長く滞在することを許してくれ、
個人の話をたくさんすることを許してくれる。ここは開けた場所でした。
それは、オーナーの菊池さんの人柄にも似ています。
今回の私の作品のきっかけは、何気ない彼の一言が全て発端になっています。
おそらく本人も気にもしていない言葉。
「この木何て名前の木かなぁ。どんな風に延びるのかなぁ。」
「ここから見える景色にちょっと期待しているんだよね」
「うちもたんぽぽ咲いている。建物と舗装のわずかな隙間から」
私にとって、菊池邸建設予定地での作品は、その主である菊池さんが、
こぼした一瞬と、それに接した自分のひとときを留めようという試みでした。
(それは結果、「今、自分の眼前に広がる生」に立ち返ることになったのですが…)
私が、完成するであろう菊池邸を思い描く時、
「菊池さんとは、どんな人間なのか」
「菊池さんとは何を大事にして生きている人なのか」そういう思いへと導かれていきました。
菊池邸建設予定地は
○建築の絶望を知っている場所です。
○ささいな喜びを気付かせてくれる場所です。
○完成されていないからこそ人が解放される場所です。
○建築事務所でもなく、住居でもなく、勿論、ギャラリーでもありません。
○ 次にどうなるのか、受け入れる準備が整った「説明のつかない場所(※1)」です。
○私が一度死んで生まれた場所、としての「古民家(※2)」です。
※1「説明のつかない場所」とは菊池さんのブログから引用させて頂きました。
http://ie-wanwan.blogspot.com/2009/06/blog-post_07.html
※2「古民家」の定義は以前の投稿で触れています。
http://612621.blogspot.com/2009/05/blog-post.html
最後に・・・
私にアートの役割を教えてくれ、叱咤激励してくれた真砂さん
抱える悩みをいつも等身大で受け止めてくれた安藤さん、
言葉なき愛情で支えてくれたアヤさん
アーティストのするべきことを批評家がするべき事を通して教えてくれる穂積さん、
焦る私をいつも急かさずにいてくれる保科さん、
このような機会をあたえてくださり、 多方面から多大なご協力を頂きました菊池さんご夫妻に心から感謝申し上げます。
最終日とクロージングパーティー
おはようございますー(切ないけれどややテンション低め)。
ミウラは昨晩より風邪をもよおしまして、けふはこれから風邪休養をとらせて頂きます。喉も痛いし鼻水は出るし、耳は遠いし、プルーンと間違って噛んだ舌の奥の跡が痛いし、頭痛はするしで風邪オンパレードです。麻美ちゃんも実は風邪と季節替わりの喘息とで最終日は病院にしばし滞在しておりました。
昨日で終了いたしました「612621」展は本当に多くの方々に足を運んで頂き、たくさんの出会いがあって、菊池さんご夫妻の大きな支えとご協力のもと素晴らしい会期となりました。まずはこの場をお借りして心から感謝を申し上げます。
私にとって初体験づくしでしたが、一度足を運んでくださった方々がお友達を連れていらしたり、何度も来てくれたり、「○○さんに勧められまして」と週末の合間を縫っていらしてくれたり本当に嬉しかったです。「これは安藤さんの、こういう作品なんですよ」と説明していたら、なんと安藤さんのご両親だったり、嬉しはずかしエピソードもいっぱいできました。
19時で終了したあとは、「夏至」を理由にクロージングパーティーへ突入しました。オープニングとは異なった顔ぶれでしたが、やはり和気藹々とした雰囲気のなか「大人って素敵だよね」「素敵な大人がいっぱいいて欲しいよね」という会話もちらほら。何の話の時かは忘れましたが、ここで過ごした時間や出来事と相まって、感極まりちょっと泣きました。
会期中、二階の設計事務所(跡)スペースを作家らの休憩室として使用させて頂いていたのですが、この場所で来訪者のみなさんとコーヒーやお菓子をつまみながら、あ、場合によって昼間からワインを空けたりして一緒に過ごし、話をし、笑ったり真剣な話をたくさんしました。あんなに皆さんとストレートに様々な事象や現実、未来の話をできたのは何故だったのでしょう。アートだけではなく、建築の話だったりデザインだったり、人生のことだったり祖父母や家族の話だったりと世代も性別も職種も越えて様々でしたが、どれも繋がっている気がしました。
また想い出して書くと思います。
みなさま、本当にありがとうございました。
2009年6月20日土曜日
6/21 最終日
あいかわらずギリギリの告知と報告ですが、明日6/21が「612621」最終日となりました。本日もたくさんの方々にお越し頂き、楽しく話も盛り上がり多くの貴重な出会いと時間を過ごすことができています、本当にありがとうございます。
そして本日6/20、展覧会に関するテキストを会場におきました。本展会期中としては6/20&21のみの設置ですが、お持ち帰り頂けるようA4サイズにし、エントランス付近に配置しました。併せて鑑賞頂ければ幸いです。
ちなみに、6/19には一部作品記録撮影が行われました。m.さんありがとうございます。引き続きよろしくお願い致します。私は所用で現場に同席できなかったのですが、あー、どんなふうになっているのでしょうか。とても楽しみです。
2009年6月19日金曜日
壊されて行く家を使うこと
ラインプロジェクトの時もそうでした。
人に見捨てられてしまいそうな一枚の紙の上に書かれた一本の線。
それが、視点をかえるだけで作品という特別なものに変わる。
それが、わたしにとって一番引かれるところでした。
612621の「壊される予定の家」はその紙一枚と同じようにわたしの心の琴線を震えさせました。
それは、絵を描く人がキャンバスやパネルを選ぶようなものであり、また、彫刻家が粘土や大理石を選ぶようなもの。
形が無くなり、忘れ去られてしまう切なさ。
役目を終え、その存在を消されてしまう、やり切れなさ。
それが、視点を変え手を加えることで一瞬でも違うものとなり特別な空間となる。
それを、記憶にとどめる。
そんなことは出来るのだろうかというのがこの「壊されて行く家」を使うことの動機でした。
2009年6月18日木曜日
突然の訪問者
未だに作品を展開させている安藤です。
言葉をつむぐ人
会場にある彼女の作品は「読む」というプライベートな行為を外に向かって発信してしまうような、 不思議な体験をする作品です。
写真は会場で執筆中の彼女。
「没頭する」作業とは無防備なものです。
描くにしろ、書くにしろ、安藤さんのワークショップの子供達も、
この会場では、みんなが無防備な姿をさらけていきます。
絵は声無き詩、詩は有声の絵。恩師がよく言っていた言葉です。
詩人のように先陣をきって、画家のように先陣をきって、人生を踊り唱える勇気。
「他」に、もしくは「多」に異を唱えることなく、たんたんと自分の仕事をする。
無防備でいるには強さが必要だなぁ、と思います。
それから、周囲や、人や、社会を信じることも。
2009年6月17日水曜日
オープニングパーティーのこと
怒濤の事後報告、ミウラです(笑)。
6/13(土)はまず、昨日の報告にもあったとおり、安藤さんの「Painting Project 2 ( futon project )」があってあっという間に布団が真っ茶色になりました。久々に快晴となった土曜で、足を運んでくださった方々と昼過ぎより盛り上がりながらそのまま18時からのオープニングパーティーになだれ込んだカタチとなりました。
ワインやシャンパン、ビール、おつまみ、オリーブ各種、和三盆など色々とご持参頂きながら適度な人数でわいわいと、大人のオープニングとなりました。最初は立食でやっていたのですが、そのうちテーブルの脚板をたたんで「ちゃぶ台」にかえ、みんなで座ってお喋りしました。
菊池さんも「かっこよかったよね」と仰るくらいに大人のパーティーだったのです。みなで会話を楽しみ、様々な話を共有したり、また個々の話題に戻ったり。隣の会話や離れたところの会話に垣根の全くない感じで、人との距離感も気持ちよい時間でした。二階で寝袋にくるまりながら色々話をしてみたり。
そんなこんなで、明け方にはいつのまにか雨が降っていて、片づけ終わって寝袋で私が眠ったのは5時。前夜の最終電車を逃した10代の若者と真砂さんは7時半ころまで隣り合ってぽつぽつとお話をしていたそうです。
みなさん、本当にありがとうございました。素敵な出会いと楽しい対話と貴重な時間に感謝します。
あ〜それにしても、毎日毎日いろいろなお土産や差し入れを頂きまして嬉しい限りです。ぽわん。
2009年6月15日月曜日
futon project
関連トークイベント
みなさま、ミウラです。
「オープニング2日前です」報告日記から5日も経過してしまいました。その間に、当然ながら(?)不眠不休かつ壊れがちなオープニング前夜を乗り越え、そのまま「612621」の朝を迎えました。
その間、何をしたか憶えていないまま(ああ、女子は交互に着替えに行きました)あっという間に19時から北大でトークイベント。私が司会進行を行ったのですが、改めて難しいなあと痛感しました。学生さんが多いかしらんと思っていたのですが、蓋をあけてみると30~50代という大人たち。
あわあわ、です。
今更言い訳じみていますが、ほとんど寝ずに挑んだ場で感極まった作家が2名ほどおりました。どういうお客様がいらっしゃるのだろうと、最初に聞いちゃおうかとも思ったのですがそんな余裕すら自分のなかに見いだせず、当日の各者のプレゼン内容から質問の糸口を探すのがせいいっぱいでした。どんな質問をすると、アーティストの話をお客様が理解できるところまで近づけていけるのか、など勉強させて頂いた感じです。いやあ~切ない、いや、つたない。
しかしながら、金曜の夜にも関わらず40名ほどの方々が足を運んでくださいました。本当にありがとうございました。質問を下さった学生の皆さんもありがとうございます!
「菊池邸建設予定地とは何なのか?」
という問いを、初日時点で各者に問いました。最終的にはどんな思いと答えになっているのか、自分自身で楽しみです。
でトーク後は、会場で引き続き打ち上げの場を準備頂き23時半頃まで、お越し頂いた方々とお話しをさせて頂きました。中学校時代の同級生・Yちゃんがオーナーであるcafe me, Weのケイタリングと一緒におよそ20種にのぼるワインを楽しみました。
実はそれほどでもないと思っていたのですが、けっこうストレスフルになっていたらしく、木曜夜~土曜夜まで左目の眼球が充血して痛かったんです...土曜6月13日のオープニングパーティーにたどり着く頃にはすっかり治っていましたが。
2009年6月10日水曜日
オープン2日前
ミウラです。
二日前となりました「612621」、大詰めも大詰めです。もう改めて言うまでもないんですが、こんな話題からしか書き始められない状態をお許し下さい(笑)。
作品だけではなく、当然のことながら作品の制作方法や過程も四者四様でした。「た」って過去形にできないんですが...。とにかく、思考と制作を重ねながら、それぞれがそれぞれのテンポで取り組んできた約2ヶ月間。アートが何であるか、アーティストが何であるかを自問自答したり対話しながら、根本的な部分と見つめ合う時間も多々ありました。
展覧会開始まで2日間、そしてトークイベントもオープン当日の夜にありますので、その準備も必要となります!
むん!疲れてなどいられないのです。
やきそば食べてがんばるぞー。オー。
2009年6月8日月曜日
布団
2009年6月7日日曜日
Open Studio終了
オープンスタジオ最終日
今日はオープンスタジオ最終日ですが、嬉しいことに入れ替わり立ち替わりお客様がいらしてます。安藤さんの作品にも、様々な方々の筆致ならぬ手致足致が加わり、私には重厚にさえ感じられてきました。
私たちといえば、壁や床やらを塗り直しているため、連日不織布ツナギ(使い捨て作業着)を纏っており、怪しい外見このうえありません。小林嬢はそのまま路地を歩いて「避けられた」らしく、「雨合羽には見えなかったみたい」と。ま、それはしょうがないと思うのアタシ。
着々と難々(?)と各人が制作に励んでいるなか、一段とマイペースの異彩を放っているらしい私ですが、「私には私のペースがあるんだい!」と思うあたりやっぱりマイペースなんでしょうね。あはは。
いよいよ今週6月12日(金)からスタートする展覧会「612621」。初日19時からはトークイベントもございます。待ってま~す。
2009年6月4日木曜日
2009年6月2日火曜日
5月30日のこと
ども、こういうブログ日記大好きのミウラです。
お客様をお迎えしての準備日となった5月30日、私たち7名(客人2人+菊池氏+作家4名)は運動会が終わって静まりかえった北光小学校前を通り過ぎて、知床産ロストチキンレッグを買いにいきました。「あ~、作品進んでないのにな~」という己のツッコミは心底深くおしやって。
場所は、以前ここで書いた「市場のような建物」なのですが、市場ではなくってショッピングセンター北星という呼称でした。そうよね、ショッピングセンターよね。大人7人でガヤガヤと7本のチキンレッグ(1本420円)を購入。
その後2階の着物+和装小物売り場を物色(笑)。麻美ちゃんに似合う1,050円の洋服を発見したり、小紋柄大判風呂が800円だったり、絞りの帯〆が250円だったり。みんなで好き放題コメントしていたのですが、きっとみんな内心「また来よう」とか想っているに違いない。いや~、小紋もあって風呂敷や端布、和装小物が格安で揃っていて個人的には超穴場です。
お騒がせしてすみませんでした!